

「雑木のトンネルをくぐって家に入りたい」というお施主さんのご要望を叶えるべく、プランニングを進めていく中で、こだわったのは道すがらの景色です。通常エクステリアにおいて敷地の高低差がある場合、ブロックなどの構造物で土留めをして、土が流れないようにするのが一般的なやり方です。しかし、造園の技法では景石や植物などを使って、自然なカタチでの土留めをすることがしばしばあります。とくに雑木の植栽を主役に考えた場合、なるべく自然な姿での植栽の場を造りたかったので、タマリュウと山石とで土留めをしました。
アプローチは玄関ポーチから一番長く距離のとれる位置から始めて、なるべくゆっくりと景色を楽しみながらお家に入っていけるように、緩やかに蛇行したカタチにして、若干の勾配をつけ、階段の段数を必要最低限にしました。アプローチの両側に植栽された山の木々とそれぞれの季節を楚々と彩る山野草類を今後の成長を考慮し、バランス良く植えていきました。
「家にすぐ入ってしまうのが、もったいなくなるアプローチ。」をテーマに掲げた、Tm邸。その目論見は大成功です。
道路からの最短距離約3m。高低差約80センチ。そのまま繋いでいたらなんて効率的でありきたりな、エクステリアができあがっていたことでしょう。
しかし、私達は“庭や”です。私達にしか提案することができない、エクステリアプランがきっとあるはずという思いから、Tm邸のプランニングが始まりました。

まず第一に、庭の中にエクステリアの機能を取り込むということを念頭に考えました。
次に、植栽が主役の空間づくりを常に心がけて、構造物のデザイン、色、素材を選定しました。建物の雰囲気、色調に近いトーンでまとめていき、最終的に彩られる緑の美しさがより際立つように、なるべくおとなしく、出しゃばり過ぎない構造物をデザインして、施工していきました。
心地良い風が通り抜けるTm邸のアプローチ庭。カチッとした土留めは設けずに、造園技法を用いて土が流れないようにしています。
緑の濃いグランドカバーはタマリュウです。常緑で安定した緑を提供してくれます。最近では芝生のようにマット状になったタイプも見受けられます。しかし、私達は1ポット1ポット根をほぐし、フワッとなるカタチを見て、植えてゆきます。タマリュウの間から顔を覗かせる明るい葉色の旬の山野草が、より自然らしさを演出してくれます。
